ツアー日記イタリア2015年6・7月

2015年6月25日(木)
朝の通勤ラッシュの中央線を避け、6:43国分寺駅の成田エキスプレスに搭乗、成田空港第一ターミナルを目指す。9時に空港着。10時半の集合時間まで時間があるので、ショッピング・モールを散策するも買いたい物とくになし。銀行で円をユーロに換金したのみ。
ツアー・メンバーが全員集合した時点で、一斉にチェックイン。12名からなる団体で、時間かかる。チェックインを無事済ませ、日本を離れる前の最後ラーメン。免税店で機内で飲むバーボン(ワイルド・ターキー8年)を仕込む。
13:15発のアリタリア便でローマを目指す。フライト時間は約12時間。Akiraさん、搭乗口・機内で弟を含め何人かのメンバーの姿が見えなかったので、無事に同じ機内に乗り込んだか心配している。結局、姿を確認せずに飛行機は滑走路に向かい離陸態勢へ。ここで飛行機を搭乗ゲートまで引き返させたら「ナッツ・リターン」ではなく「ミッツ・リターン」になるなと冗談をいう。飛行機が安定飛行に入って、すぐにシートベルトを外し、メンバー全員が機内に乗り込んだか確認。どうやら全員乗り込んだ模様。しばらくして食事サービス。トマト味のペンネ、美味し。赤ワインと一緒に。
12時間のフライト中、最近手に入れたI PODで音楽を聴いたり、読書(佐藤優の世界史の
極意)、C.イーストウッド監督の「アメリカン・スナイパー」という映画を観る。大変シリアスな内容。いろんなことを考えさせられた。
現地時間の夕方7時にローマに無事到着。去年と同じドライバーが運転する送迎リムジンで市内の主泊地(B&B)へ。ツアー・メンバーが多いので、2箇所の宿泊施設に分かれる。
こちらは女性3人部屋と男性2人部屋の5名で宿泊。部屋の相方はTera。バルコニーが広く、キッチンでは料理も出来る素敵な宿泊地。
一休みして、現地主催者のマリア・ピアをはじめ、イタリアの友人たちと近くのリストランテで食事。魚介のフライやサラダなど、前菜だけで腹一杯になるほどの豪華な料理。私はメインにビステカ・ディ・マンツォ(ビーフ・ステーキ)を食べる。
宿に戻り、爆睡。

2015年6月26日(金)
朝7時頃目覚める。PCを繋ぎ、インターネットが使えるかチェック。無料のWIFIが使いたい放題。日本からペット・シッターのMitsuhashiさんからウチの猫の様子を撮った写真がメールで届く。ちゃんとお留守番をしている模様で、一安心。
Tera、エスプレッソ・マシーンでエスプレッソ作るも、水を入れる場所を間違えてマシーンを焦がし、壊す。
Tera、Hirokoと近くのカフェで朝食とスーパーまで買い出し。ビール、ワイン、サラミ、パン、サラダ、ステーキ用の牛肉を買い込む。ここは自分たちで料理が出来るので助かる。
市内の交通機関はストライキのため動いていない。そのためどこにも行けないので、ベランダでビールなどを飲みながら時間を潰す。今日は夜の歓迎パーティーまで特に予定はない。
昼飯は近所のケバブ屋で。食べた後、時差ボケのせいか、とたんに眠くなり夜の7時過ぎまで寝込む。夜は主催者宅でパーティー。赤ワインと生ハムをふんだんに食べる。夜中の12時すぎに宿に戻り、バルコニーでメンバーたちと(再び)飲み始める。オイリュトミスト同士、ネタはオイリュトミー話で話が尽きない。「意志・感情・思考」、「人称感覚」、「色彩」について、話は盛り上がり夜中の2時まで。一旦ベットに入るも、6時頃目が覚める。バルコニーに出るとTeraが一人で朝ビール。一杯だけ共にして、再び就寝。

2015年6月27日(土)
朝9時頃起きる。近くのカフェでエスプレッソ、スーパーでパスタ、にんにく、唐辛子、イタリアン・パセリ、オリーブオイル、胡椒、フライパンを買う。自炊する気満々。
昼食に早速、アーリオ・オーレ・ペペロンンチーノを作る。う~ん、美味しい!
今日はワークショップの第一日目。待ち合わせ時間を決めて、みんなで地下鉄を利用して会場へ向かう。ローマ、大変暑し。30度はあろう。今日のWSはNaokaが担当。テーマは「時間」。前半の2時間を担当する。後半2時間はAKIRAさんがWSを引き継ぐ。イタリアからは10数名の参加者。我々他のメンバーは当初見学する予定だったが、結局最初から一緒に動く(参加)ことになった。
「時間」という難しいテーマを様々な角度から動きと結びつけて取り組む。
私は明日担当だが、様々なヒントを得た。
WS終了後、会場近くのお店でビールの乾杯。地下鉄で宿に戻り、途中で中華のお店で焼きそばのテイクアウトを取る。ここの中華は去年見つけ、美味しかったところ。焼きそばのテイクアウトが3.5ユーロは安い。
夜は恒例のベランダでの飲み会。みんなでワイン2本空け終了。

2015年6月28日(日)
よく眠る。やっと時差ボケから解放された模様。朝は恒例のカフェでエスプレッソ。スーパーで水とファンタ・オレンジを買う。午前中はWSの準備。ペット・シッターのMITSUHASHIさんからメール届く。ウチの猫たちはちゃんとお留守番している模様。昼食は、ステーキを焼く。スーパーで買った安い肉だったが、以外にうまい。
今日の前半のWSは私が担当。テーマは「人称感覚」。呼吸法、発声練習を「一人称・三人称」の感覚で掴むことを目的としてWSの流れをイメージしたが、参加者のほとんどが昨日オイリュトミーと出会った人たちがほとんど。突然、人称の稽古を行うわけにはいかない。やはり基礎を中心に進めて、人称感覚の稽古としては、「吸気と呼気の違い」を体験・探るところを繰り返し行なった。通訳を介しているので、説明の時間も倍かかり、準備した内容の5分の1ぐらいしか展開出来なかった。
後半のWSはAkiraさんが担当。2時間、「これぞKASAI STYLE」とイタリア人が好みそうなハードでエッジの効いた振付を動く。音楽は「Steve Reich」。
WS終了後、近くの店でビール。今年の秋に2ヶ月半ほど天使館に体験留学するアレクサンドラとの久しぶり再開。彼女のダンスは素晴らしい。
今日は地下鉄ではなく、歩いて宿に帰ることに。以外に歩ける距離だった。途中、夕飯としてケバブを食う。美味い。
宿に戻ってすぐに洗濯&シャワー。結構疲れていたようで、バーボンのロックを1グラスだけ飲んで、皆より一足先にベットへ。

2015年6月29日(月)
昨日は早く寝たので、朝の身体の調子がいい。
午前中のリハと午後~夜のWSの間にゆっくりと昼食を食べるタイミングがなさそうなので、午前中のリハ前にしっかり食べることに。キッチンでペペロンチーノを作る。その後、夕食の買い出しをスーパーまで。パスタ、トマト・ソース、キャンティー・ワイン。
午前11時からリハーサル開始。イタリア人の友人であるサマンタに通しを観てもらい、イタリア語の発音の直しやアドヴァイスをもらう。全体としてイタリア人が聴いても、違和感なく聴ける模様であった。しかし「gli」や「degli」の発音だけは日本語にはなく、やはり難しい。
リハ終了後、ピザをひと切れとスイカを食べる。Ken曰く、スイカは開いた瞬間(真っ二つに切った瞬間)、マイナス・イオンを発するとのこと。確かにそんな気がする。
今日の前半のWSはTeraが担当。テーマは「エフェソス」。発声練習、五芒星形、円形、レムニスカート等、Teraらしい「熱い」ワークを展開。
Teraは今でこそ、日本の各地でWS活動を展開・活躍しているが、彼が初めてオイリュトミーWSを行なったのは、イタリアであった。しかも当時の彼は英語もイタリア語も話せず、日本語で。それを私が英語に訳し、その英語を英語がわかるイタリア人がイタリア語に訳して伝えるという手法であった。
Teraは日本語しか喋らないが、それでもイタリア人を惹きつけ、飽きさせることなくWSを展開する不思議な力と感性をもっている。他のWSには参加しないが、TeraのWSにだけは来るというイタリア人のファンもいる。
後半のWSはAkiraさん。五芒星形の魔術的意味の話や、「2次元と3次元に動き」や、子音の練習が今日から始まった。
WS終了後、AKIRAさんのスタジオ・デモンストレーション。今年の春、東京・京都で上演された「今晩は荒れ模様」でも使用されたラフマニノフの曲を使用しながら、およそ20分の即興。衣装は上下の白スーツ。最後は上着を脱ぎ捨て、ひたすら動きまくり、観客を沸かす。
今日も宿までは徒歩で帰ることに。途中のお店でビール一本買って、飲みながら帰る。
夕食はスパゲティ・アラビアータ。赤ワインをソースに入れて、味の深みを出す。お腹が空いていたので、一気に完食。美味い。
バルコニーでTeraの作った骨付きチキン焼きと赤ワインを飲む。

2015年6月30日(火)
朝一番に味噌汁を作り飲む。美味い。
今日は午前中はデモンストレーションのためのリハーサル。各出演者が本作品「蝶たちのコロナ」の他にソロやデュエットをみせる。リハーサル前の朝の時間の内にスーパーまで買い出し。部屋飲み用のジャック・ダニエルを買う。
午前11時から私のデモ作品の稽古。音響のT氏と綿密なサウンドチェックとキッカケの打ち合わせ。
昼食にリハーサル会場近くのケバプ屋でケバプを食べる。こちらのケバプは日本とは違い、サイズもビック・サイズ。満腹になる。午後3時からのWSまで時間があるので、稽古場近くのギターショップに立ち寄る。イタリアのハンドメイドのエフェクターを得意とするショップで、去年も立ち寄った店。店主は私のことを覚えていてくれた。
何も買う訳でもないのに(本当は欲しい物がたくさんあるが、どれも高価で無理)、30~40分ほど店内のエフェクターを試し弾きする。フィレンツェのローカル・ブランドが製作したファズは、とても気に入った。店主はトニー・アイオミ(ブラック・サバスのギタリスト)が好きなようで、私の試し弾きの最中に「それはランディー・ローズのやり方だ」とか「ザック・ワイルドのパターンだ」と突っ込みを入れてくる。いや~、本当にトニーが好きなんですね。私は特にサバスに思い入れがないので適当に弾いてるだけでしたが。日本の楽器屋の店員では、こうはいかない。イタリア人の気質を改めて堪能。
WS前半の2時間はIzumiが担当。テーマは色彩。過去・現在・未来と色彩の関係や、鉱物・植物・動物と地球との関係の話など、興味深い話がたくさん聞けた。
後半2時間はAkiraさん。子音の動き、7芒星形の動きが登場。なかなかレベルの高い内容。キリストの光と「神の名前=神名」の説明は興味深く、イタリア人も「なるほどなぁ」という雰囲気だった。古事記やギリシア神話、北方神話、世界には様々な神話があるが、神話を読み解くには、ある共通した「鍵」があることに気づかされた。
WS終了後、Maria PiaとKINUKOさんと三人で、公演後の打ち上げ会場のリサーチに出かける。ついでにビールを飲む。途中テイクアウトの中華屋で焼きそばを買って帰宅。


2015年7月1日(水)
朝一番に味噌汁。美味い。今日は11時から2回目の通しリハーサル。荷物をまとめて地下鉄に乗り込む。
1回目の通しリハよりも身体の状態がいい。こちらの空気に慣れたというか、馴染んだというか。
昼食に「バーガーキング」でハンバーガーを食べる。
今日の前半のWSはHARAさんが担当。テーマ「意志・感情・思考」。本人、直前まで緊張してる様子だったが、いざイタリア人の受講生の前に立つと、堂々としている。本番に強いタイプなのか?
彼女独特のキャッチーな声で「ベーネ、グラッツェ、もう一度⇒きれい、ありがとう、もう一度」(なぜかもう一度だけ日本語)は、空間を一気にHARAワールドに変容せしめるのに充分な効果があった。とても楽しい時間であった。
後半2時間はAKIRAさんのWS。最初に前回やった振付の返しをやったので、今日は振付の続きかと思いきや、次は子音の稽古に入った。今日は主に打音系の音を稽古(KGDTNB)。この6つの子音を「三人称感覚」、「惑星と黄道十二宮」、「吸気と呼気のイマジネーション」の中で練習。なかなかレベルの高い内容と濃さをもった時間。
WS終了後、瓶ビール片手に地下鉄の駅までブラブラ。今日の夕飯はツアーメンバー全員で中華を食べることに。いったん宿に戻って八時半にお店に集合。外のテラス席を予約してあった。
ビール、赤ワインで乾杯をし、それぞれが好きなものを注文。私はワンタンスープと牛肉の鉄板焼きを注文。
宿に戻り、バーボンを一杯だけ飲んで就寝。


2015年7月2日(木)
今日はいよいよローマでの本番初日。会場はローマ第三大学。午前中は、WS準備をしたり、スーパーまでステーキ用の肉を買いに出かける。300gほどのステーキ用牛肉が4ユーロで買えた。
臭みも無く、柔らかくて美味しい。オリーブオイルをひき、ニンニクのカケラと一緒にフライパンで焼く。肉には塩・胡椒で下味。今日の本番後の楽しみはこれです(今日は打ち上げをせず、終演後すぐに宿に戻るため)
昼食にスパゲティ・アラビアータを作る。私は本番前のメニューではパスタが多い。
現在お昼の12時半。14時半に車で会場に向かう予定。
15時に会場着。(去年もそうだったが)ここの床は滑りやすいので、通し稽古の前に入念に床拭きをする。会場について急遽、舞台を前舞台と奥舞台の2段構造にして使うことが決定。奥舞台は前舞台よりも70~80センチ高くなっている。全部で18シーンある作中のうち5シーンほどを奥舞台、もしくは奥舞台と前舞台両方を使って動くことに。こういった大胆な変更を本番直前に受けても、対応できるアンサンブルが素晴らしい。
本番前の通しが終わり、サーモンのサンドイッチを食べる。
19時からレイモンド教授のレクチャーがスタート。聞き役はAKIRAさん。テーマは「プラトンと言葉とリズム」。後半のレクチャーはAKIRAさん。母声・父声、ゲルマン言語・ラテン言語・日本語について。
20:45、いよいよイタリア・ローマでの初日が開演。去年は、作品と作品の間に拍手が入ったりして盛り上がっていたが、今回は最初から最後までじっと作品を「聴き入り」、「観入っている」様子。
初日の舞台はあっという間に終わった。多くのイタリア人が、我々が1時間の長さの作品を全てイタリア語で仕上げたことに驚いていた様子。発音も内容も問題なく聞き取れたとのこと。とにかく作品自体が驚きのようだった。逆に考えれば想像つくが、ドイツ人やイタリア人が一時間の日本語のテキストを覚え、オイリュトミー作品にまで仕上げ、それを日本で上演しにツアーにくるか?と想像すると、まったくゼロではないにせよ、想像しにくい。
車で宿まで戻り、近くのピザ屋でビールを一杯飲む。宿でステーキを焼く予定でいたが、ピザ屋でビールしか頼んでいないのに、サービスにカレー味のコロッケ二個とピザ二切れが出たので満腹に。ステーキは明日のお楽しみに延長。
シャワーを浴び、ベランダでメンバーたちとささやか飲み。1時頃就寝。

2015年7月3日(金)
朝八時半に起床。
すぐに洗濯とコーヒー。ペットシッターのMitsuhashiさんより、ウチの猫たちの様子を伝えるメールが写真添付で届く。元気そうで一安心。Mitsuhashiさんにも慣れたようで、ウチに世話にくるとジャガもトラも姿を現すとのこと(以前は、ベットの後ろに隠れてしまっていた)
今日はローマ公演の2回目。会場入りは夕方の16時なので、今(午前中)はこのように日記を書いたり、のんびりしている。先ほどスーパーまで食材を買いに出かけた。パスタ、イタリアン・パセリ、香辛料(タイムとサージ)、ミネラルウォーター。たった今、ステーキを焼いて食べ終わったところ。美味かった。

場当たりに出かける前に、もう一度腹ごしらえにパスタを茹でる。料理をしていると掃除のおばさんとおじさんが「私たちの分も作ってくれ」と言ってきた。最初は冗談かと思ったが、「お金はいくら払えばいい?」と言ってくるので「お金はいらないから、僕が作ったのでよければどうぞご一緒に食べましょう」と急遽3人分のパスタを茹でることに。トマト味のパスタを「美味い、美味い」と食べてくれた。食事中、「ミネラル・ウォーター飲むか?」と聞かれたので、「ハイ、飲みます」と答えると、冷蔵庫から出してきてグラスに入れてくれた。
後で気づいたが、そのミネラル・ウォーターはメンバーの誰かが「自分用」に買ったもので、出かける時に持っていこうとしていたものだった。持っていこうとしたら半分ぐらい減っているので、
掃除のおばさんを問い詰めると「これはレイジのもので、彼がくれた」と返答。私は別にメンバーの物を勝手に飲もうとしたわけではなかったが、彼らが冷蔵庫どこからミネラル・ウォーターを出してきたか、気をつけるべきだった。
メンバーによると、自分たちの買った冷蔵庫の食材が勝手に使われたり、場所が移動していることが何度かあったので、おばさんには気をつけていたとのこと。
そう言われてみると、私も買ったはずの「ニンニク」がなくなっていた。
気持ちよく料理を作ってあげたつもりだったが、ただの「たかりババァとジジィ」だったことが判明。


16時から現場で場当たり。AKIRAさんは取材のため不在で、自分たちで進める。袖幕のない空間で、履けてもお客から体が見える。そのため履けたあとのポジショニングを確認。途中、雨が降り出し、天窓を強く叩きつける。「何か」がこれから起きそうな雰囲気。
場当たりが終わり、休憩。開演は20:45。その間に向かいのカフェで軽食。コーヒーとピザサンド。会場に戻り、ストレッチ。雨はあがった。

20:45、観客が少ない中、ローマ公演の2回目が開演。

この2年間「蝶たちのコロナ」は日本、ドイツ、イタリアで上演され、公演回数も多い。
その中でも、今夜のローマの2日目は最も集中した空間とエネルギーにあふれた本番となった。
おそらく「集中度」では今までの中ではナンバー1だろう。
今までは集中していなかった、ということではない。しかし今夜みたいな本番は、狙って出来るものでもない。生涯忘れえぬ本番のひとつとなったローマの熱い夜。

本番が終わり、何台かの車に乗り分けて打ち上げ会場へ。場所はサン・ローレンツォ地区にあるバー。ビールを得意とする店で、一杯一杯、丁寧に時間をかけ入れてくれる。なんとトイレの入口が古い洋服タンスになっている。一見タンスかと思いきや、タンスを開けるとトイレにつづく廊下になっている。
ビールとネロ・ダヴォラを飲む。酒はうまいが、出てきたペペロンチーノは全く塩気がない。自分で直接塩をかけて味付けして食べる。イタリア人が作るパスタがすべて美味しいわけではないことを改めて痛感。
宿に戻り、バーボンを一杯だけやって寝る。

2015年7月4日(土)
11時からデモンストレーション用のリハーサルを13時まで、2時間ほど。音響のT氏とHirokoの3人で近くレストランで食事。スパゲティ・ヴォンゴレを食べる。美味いが量が少ない。
今日のWSの担当はKENTARO。テーマは「感覚」。「視覚」・「聴覚」の稽古を行う。感覚の稽古は体はそれほど激しく動かさないが、かなり集中するので、後半のAKIRAさんの時間にはバッテリー切れで、まぶたが岩のように重くなる。立っているのがやっと。この後、私はデモンストレーションをやらなければいけない。エネルギーを温存したいところだが・・・・。
WSが終わり、今日は私がデモンストレーションをする番。
冒頭にシュタイナーのテキスト(ドイツ語)とベートーヴェンの手記を日本語・ドイツ語・イタリア語の3カ国語で行う。
その後、音楽オイリュトミーに関する簡単な解説を、音階の動きの実演を交えながら行う。MITSUがギターで長調と短調の音階を弾いてくれた。
デモンストレーション最後の作品はショパンのノクターンの20番。
無事に終了し、さっさと撤収。途中、ティブルティーナ駅にある、去年から気になっていたケバブ屋でケバブを食べる。やはりカンが当たったようで、ローマで見つけたケバブ屋の中では、今のところ一番美味い。
ビールを飲みながら宿まで歩いて帰る。
夜はバルコニーでメンバーたちと飲みながらおしゃべり。ジャック・ダニエルやグラッパ、ハード系なボトルがテーブルに並ぶ。
疲れていたせいか、12時前には寝る。

2015年7月5日(日)
朝一番にスーパーまで食材の買い出し。ステーキ用肉3枚、パスタ、ニンニクを買う。日曜日だが、普通にスーパーがやっているのは、嬉しい(ドイツでは日曜はお店は閉まっている)。早速、宿に戻ってステーキを焼く。
WSまでの間に洗濯、ノートの整理などをする。
今日のWSの担当はSADA。テーマは「反感と共感」。あまり聞き慣れない「テーマ」だが、オイリュトミーには「反感・共感」が「動きとして」ある。それを掘り進めていくと、「意志・感情・思考」や「呼吸法」や「純粋感覚/感覚内容ではなく、感覚力そのもの」の領域とも重なる、深いテーマ。SADAらしい、分かりやすく、かつ丁寧な解説で、楽しかった。特に、「睡眠」と「共感」の関係性の話は印象に残った。
後半の時間はAKIRAさん。12の子音を一気にやる。「コンソナンンテンの動き」よりも「父声・母声の動き」からのアプローチに趣をおいた説明。
WS終了後、昨日に引き続きデモンストレーションの時間。今日はSADAとKENTAROが北原白秋の「須佐之男」を発表。日本でも何度か上演したこのある作品。
今日はTERAの42回位目の誕生日。デモンストレーション終了後、WS生、観客たちとシャンパンの乾杯。メロディーはあのままで、歌詞だけがイタリア語の「ハッピー・バスデー・トゥー・ユー」の歌を初めて聴いた。
ビールを片手に歩いて宿の戻りスパゲティ・アラビアータを作る。その後、SADA・KENの宿泊している宿に集合してTERAの誕生会と称した飲み会開始。メンバー全員だけで一緒に部屋で飲むのは今回が初。話題はオイリュトミーから安倍政権、ギリシャ問題まで幅広く。
自分の宿に戻り、バーボンを一杯だけやって就寝。

2015年7月6日(月)
午前中は食材の買い出し。パン・唐辛子ソース・ワイン。肉を焼き、唐辛子ソースをかけてパンに挟んで食べる。美味い。
IPODの画面がフリーズし、強制電源オフも出来ないし、音もでなくなってしまう。これが使えなくなってしまうと大変困る。しかしWSに出かけなくてはならない時間なので、あれこれやっている時間はない。心配しながら、そのままほっといて出かける。
今日のWS担当はHIROKOさん。テーマは「イマジネーション」。色彩の動きをベースにシューマンの「子供の情景」を動く。
今日の後半のWSはMITSUが担当。彼のWSを体験するのは初めて。ストレッチの3つの基本「伸ばす・ひねる・まるめる」は気持ちよかった。後半は振付。モーツァルトの「レクイエム」に合わせて、割とハードな動き。いつものWSとはまた雰囲気が変わり、気分転換になったのでは・・・。
WS終了語、HIROKOのデモンストレーション。作品は今年のさくら祭や5月の白十字で披露した「おいしい日常」。一時、日本でも大ブームにもなった香港発の調味料「XOジャン」について、あえて大げさに紹介するエッセイをオイリュトミー作品化したもの。朗唱は私。
日本語のまま発表したが、ところどころ食材の名前などをイタリア語に直して朗唱。HIROKOは様々なキャクターの人間を動きで描写するのが、とても上手い。言葉の意味はわからなくても、観客は終始、笑いながら楽しそうに見入っている様子だった。
ビールとケバブを食べながら宿に戻る。
音響のT氏がIPODを何とか直してみると、頼もしいお言葉。しかし宿に戻ってみると、自然に復活していた。一体何だったのか?
T氏と最終日の私のWSのための音源製作を行う。短い練習用音源を6つほど。
そのまま引き続きバルコニーで飲み。今日はなぜか酒が進み、五人でワイン数本、バーボン(もともと半分くらい空いてたもの)を飲み干す。つまみ用に「牛肉」として買った肉を焼き、振舞うも「豚肉」だったと判明。買う際に、どうも見た目が牛肉ぽくないなと思っていたが、「carne」と書いてあるので「牛肉」だと思い購入。でも「carne」は肉全般のことを指すらしい。
復活したIPODを聞きなが寝る。

2015年
7月7日(火)
午前中は宿でダラダラ。リハが12時からなので、その前に昼食を済ますか、その後にするか考えている内に出かける時間に。時間の都合ですべての作品は通さず、全員で動く群舞作品や朗唱の難しい言葉の作品を中心に稽古。バッハの「G線上のアリア」は地中海の海の底に沈んだ古代遺跡の柱と(低音)、そこを泳ぎ回る最後の人魚(高音/メロディ)のイメージで動くようにとのアドヴァイス。
昼食はリハ会場(WS会場)の近くに見つけた初めて入るリストランテ。馬鹿でかいビステカとポテトを食べる。おおいに満足する。
今日のWSの担当はKENTARO。テーマは「呼吸」。「浮力」「重力」の基礎練習の後に、ベートーヴェンの第7シンフォニー第2楽章に合わせて簡単なフォルムに乗せる。
後半のAKIARさんの時間では、呼気・吸気における打音(KGD・・・・)の持続音の稽古。これ以上繊細で微細な感覚を扱う稽古はないぐらい、静かで微細かつ集中した時間。
WS終了後、受講生のサラが、普段から大道芸として行なっている「操り人形」のパフォーマンスを披露。当初、普通の人形でも使うのかと思いきや、ものすごくリアルなカラスの骨格の操り人形で、本当に生きているかのように操る。おおいに楽しむ。
20:30からアレッサンドラ・クリスティアーニのデモンストレーション・パフォーマンス。彼女のダンスを初めて見たのは5~6年前だが、その衝撃は今でも忘れられない。今日のデモを観て、改めてその衝撃を味わった。すごいダンサー・・・・。
多くの人がは「彼女はナンバー・ワン・イン・イタリー」と賞するが、私が思うに、彼女のような集中度を持ったダンサーは、全世界見渡してもそう滅多にいない。
バルコニーでメンバーたちと食事&飲み。私はパスタ(アラビアータ)を振舞う。HARAさん提供のワインを空け、グラッパに移行、大いに酔っ払う。それでも話す内容はオイリュトミーのこと中心。それぞれの作品の作り方へのアプローチの違いについて話が盛り上がる。私どちらかというと、一旦フォルムを伝えると、あとはそのまま「Let it growかな」というような話をしたと思う。話しながらEric Claptonが頭の中で響いていた。
部屋に戻り、IPODで「GIMME SHELTER」を聞きながら寝る。

2014年7月8日(水)
今日はWS最終日。担当は私。朝10時にWSの打ち合わせのためAKIRAさんの宿へ。ちょっと早めのランチを食べようと、宿泊しているオイリュトミストたちと初日の夜に訪れたレストランまで行ってみるが、早すぎたよう。開店は12:40からだという(こちらのお昼は遅い)。
仕方なく中華のテイクアウトをする。エビチャーハンと焼き餃子。
WSをどのように進めるかイメージしながらベットでウトウト。
連日30数度ある猛暑のローマを地下鉄で移動してWS会場へ。
今日の私のテーマは「北極・南極/惑星との関連で」。北極・南極とは、オイリュトミーにおける基本的な呼吸の取り方だが、それを惑星と関連づけて行うのが、今日のテーマ。
今日に限って通訳がいないため、私が英語でやることに。
惑星における基本的な内容(内臓系との関連)の他、音階との関連、また音楽におけるドミナント感覚と惑星との関連など、今までの私のWSではあまり触れてこなかった内容にも触れてみる。
前半の私のWSは「オイリュトミーの6つ基本形」をイタリア語で行い終了。
後半はAKIRAさんの時間。昨日に引き続き「呼気・吸気」における打音の持続声の稽古を時間かけて行う。私はその前に2時間英語で喋り続けたせいか、完全にバッテリー切れで、瞼が重くてたまらない。立っているのがやっとで、後半の2時間を過ごした。
いよいよ、ローマにおける十日間の連続WSが終了。20:30からMITSUとNAOKAのデモンストレーション。その間、主催者、WSの受講生たちとビールとワインで乾杯。
MITSU&NAOKAのデモは、会場に無造作に椅子を配置して、間接照明をうまく利用したお洒落な空間を演出。長年、二人で作品をやってきたが、今だに「新鮮さ」があるのは、ものすごくいいと思った。音楽の選曲はシリアスになり過ぎず、かつ浅すぎず、二人らしい選曲。そういえば作品タイトルは何ていうのだろう?
カーテンコールの拍手の雰囲気で、イタリア人も大いに楽しんだことが伺えた。
ケバブを食べながら宿まで歩く。ベランダでワインを飲む。隣の部屋にドイツ人のカップルが入ってきた。しばしドイツ語でお喋り。
疲れているようで、酒もあまり進まず、早めの就寝。

2015年7月9日(木)
午前中にシャワー。ペット・シッターのMITSUHASHIさんからウチの猫の近況報告メール&写真添付つき。猫たちは元気でお留守番しているとのこと。もうすぐ会えるね~。
コーヒー飲みに出かけ、ついでにボローニャ広場にある雑誌屋で日本の漫画のイタリア語版を古本を捜す。日本の漫画は「エンジェル・ハート」と「エヴァンゲリオン」の2冊のみ。両方共、日本語でも読んだことない作品。これを機に、イタリア語の勉強を始めようかと思い、購入。2冊で2ユーロ。出来れば知っている漫画がよかったが(ゴルゴ13とか)、さすがになかった。ネットで調べてみると、両方共、日本で単行本として買えるようなので、帰国したら買うことに。日本語とイタリア語を読み比べて、勉強してみようと思う。
今回、シュタイナーのテキストを1公演分、まるまるイタリア語で丸暗記し、朗唱したおかげか、
こちらでイタリア人同士の会話を聞いていても、意味はわからなくても、言葉の区切り、センテンスなどは追えるように耳が慣れてきた。
昼食はイタリア側制作・主催者のマリアピアとサン・ローレンツォ地区のリストランテへ。スパゲティ・アラ・ヴォンゴレを食べる。共同制作関連の話や今後について意見を交換。
今日はローマ公演最終日。夕方6時に会場入り。18:30から軽く一度通す。
20:45開演。最終公演らしく、力を出し切って、無事幕がおりる。
多くのWS生との別れを惜しみながら、車でM.PIA宅の打ち上げ会場へ。すでに時計は夜中11時を過ぎている。深夜の打ち上げ、ワイン・パスタ・生ハムを存分味わう。
夜中の3時すぎに宿に戻り、ベランダでグラッパを1~2杯やってから就寝。
荷造りは起きてからすることに。

2015年7月10日(金)
帰国の日。朝9時頃起きる。ベランダに行ってみるとTERAが自炊の豚肉野菜炒めを食べながら朝ビール。一杯だけもらい、ついでに野菜炒めも味わう。美味い。
味噌汁を飲み、余ったユーロ(それほど残っていないが)を使うためスーパーへ。香辛料とジェノヴェーゼ・ソースを買う。ついでに屋台の洋服屋で白い帽子。
お昼の11:30、空港に向かう車が迎えに来る。人数が多いので2台に分乗。M.PIAが宿まで見送りにきてくれた。宿の前で名残惜しいお別れだが、彼女は来月日本に来るので、すぐまた会える。私が乗った方の車、運転が大変荒い。気分が悪くなる。
空港につき、まずチェックイン。おおむねスムーズに済ませられた。飛行場で最後ランチ。ポモドーロ(トマト)味のペンネ。味が薄く、あまり美味ではなかった。
フライト・ゲートに向かい、最後の買い物。酒、ノート。
15:30のアリタリア784便の成田直行便。飛行時間はおおよそ12時間。機内で懐かしい「INDEPENDENCE DAY」と「IL PADRINO」の2本の映画を観る。機内食には手をつけず、寝てしまった。起きたらすでにシベリアのほとんどを過ぎ、日本海上空に入ろうとしている位置にまで進んでいた。眠っている間にフライトのほとんどが進行したので、長時間の退屈を感じることなくラッキーであった。
日本時間7月11日午前11時ちょっと前に、無事成田に着陸。
荷物の受け取りもスムーズにいき、入国ロビーでメンバーたちと解散。
吉祥寺駅にリムジンバスに乗り込み、最後は中央線で国分寺まで。
恒例のラーメン・タイム。
タクシーで家に向かい、玄関を開けたらトラ・ジャガが元気な姿を見せてくれた。





































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